遺産分割協議

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●遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)とは

遺産分割協議とは、相続が発生した際、相続人が遺産の中から「誰が何を相続するか」を相続人全員一致で決めていく手続きです。


●遺言がある場合、遺言が無い場合

この遺産分割協議は、遺言がある場合でも、各相続人の協議によって、遺言に記載されているとおりに遺産を相続しないことにできるときがあります。

遺言が無い場合は、各相続人が、法定相続分どおりに相続するとき、遺産によっては不都合が生じることがあります。

たとえば、不動産の場合、1つの不動産を相続人全員が共有することになります。そうすると、この不動産を売却するには、共有者全員の同意が必要になり、売却することが難しくなります。

そこで、相続人全員の話し合いがまとまれば、法定相続分と異なる内容で遺産を相続することができます。このような協議・合意を遺産分割協議といいます。


●遺産分割協議 遺言との関係

遺言の中で遺産分割を禁止していなければ、相続人全員で遺産分割協議をすることができます。この場合、遺言と異なる内容の遺産分割協議が成立すると、その遺産分割協議の内容が優先され、それに従って遺産が相続されます。

なお、遺言者は遺言の中で5年以内の期間を定めて遺産分割を禁止することができます。その場合、相続人は遺産分割を禁止した期間を経過しなければ、遺産分割協議をすることはできません。


●遺産分割協議が成立する条件

遺産分割協議が成立する条件は、相続人全員の一致が絶対条件です。相続人全員で集まって行うというのが基本ですが、必ず一所に集まらなければならないというわけではありません。たとえば遠方で参加できない相続人がいる場合、参加できる相続人で作成した遺産分割協議書を、不参加の相続人に郵送し、署名・押印後、返信してもらうことで成立します。

ただし、遺産分割協議の場に参加できない相続人に対して、事前に電話やメール等でしっかりと内容を説明し、了解を得ることが大切です。協議内容に1人でも同意しない相続人がいる場合、その遺産分割協議は不成立となるからです。

●遺産分割協議 相続不動産の売却

遺産分割協議を利用すれば、自宅はAさん、株式はBさん、現金預貯金はCさんといったように相続することができます。先程の例でいうと、1つの不動産を相続人全員で共有することを避けることができるので、不動産を売却しやすくなります。

〇相続不動産を売却する場合

遺産の内容によっては、相続税を納めるための資金が足りないことがあります。そのため、ケースによっては遺産に含まれる不動産を売却して納税資金を確保する必要があります。

その場合、納税の期限前までに、早急に不動産を売却する必要があります。不動産を売却するためには、その不動産を誰が相続するのかを確定する必要があります。そのため、遺産分割協議が必要な場合、不動産を売却する前に遺産分割協議を成立させる必要があります。


●遺産分割協議と相続税申告

相続が発生すると、場合によっては相続税を納める必要があります。相続税の申告と納税は相続開始を知った日の翌日から10か月以内にしなければなりません。

そして相続税の金額は、どの遺産を誰が相続するのかが決まらないと計算することができません。そのため遺産分割協議は、相続税の申告より前に成立させる必要があります。期限内に遺産分割協議をして、相続税を納めることができない場合、延滞税を課されることもあるので注意が必要です。


●遺産分割協議の遡及効

遺産分割協議は、相続が始まった後、いつでも行えます。遺産分割協議が成立すると、相続開始のときにさかのぼって、その効果が生じます。つまり、相続が開始したときから、遺産分割協議の内容とおりに、各相続人が遺産を相続していたことになります。

※遡及効(そきゅうこう)とは法律や法律要件がその成立以前にさかのぼって効力を持つこと。

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