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自筆証書遺言保管制度とは 令和2年7月10日 相続法改正


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自筆証書遺言保管制度が令和2年(2020年)7月10日に施行となります。
法務局に申請することで自筆証書遺言書(自分で書いた遺言書)を保管してくれるというものです。

ここでは自筆証書遺言保管制度の要件、メリット、費用や、令和元年(2019年)1月13日に改正された新しい遺言書の記載例をご案内します。

  1. 自筆証書遺言保管制度とは
  2. 自筆証書遺言保管制度を申請すると
  3. 自筆証書遺言保管制度のメリット
  4. 自筆証書遺言保管制度 費用
  5. 自筆証書遺言とは
  6. 自筆証書遺言の方式緩和とは
  7. 自筆証書遺言 公正証書遺言との比較

 

1.自筆証書遺言保管制度とは

令和2年(2020年)7月10日、自筆証書遺言保管制度がスタートします。
これまで、自筆証書遺言は自分で保管・管理しなければなりませんでしたので、それに伴うデメリットがありました。

1-1.相続法改正前の自筆証書遺言のデメリット

  • ✖紛失したり、生前に発見され隠匿される可能性がある
  • ✖偽造される可能性がある
  • ✖どこに保管しているか相続人に知らせず、見つからないこともある
  • ✖検認手続きが必要

これらの問題を改善するため、新しく改正された相続法が自筆証書遺言保管制度です。

2.自筆証書遺言保管制度を申請すると

自筆証書遺言保管制度を申請すると、令和2年(2020年)7月10日からは法務局で保管してくれることになります。
今までデメリットとされた部分が解消され、せっかく書いた遺言書が無駄になるケースも避けられます。
また、相続開始後に家庭裁判所への検認手続きが不要となります。
※従来通り自分で保管・管理する方法も可能です。

2-1.自筆証書遺言の保管先

保管先の法務局は、遺言者の住所地か本籍地か所有する不動産の所在地のいずれかが管轄法務局になります。

例えば、Aさんの住所地は横浜市、本籍地は大田区、所有する不動産は港区の場合
■保管の法務局は横浜市、大田区、港区を管轄する法務局のうちのいずれかを選択できます。
■保管の申請は、遺言書を事前に作成したうえで、申請書と添付書面を準備し、事前予約して法務局に申請手続きをする必要があります。

2-2.自筆証書遺言保管制度を申請する際の注意点

・法務局では遺言の内容についての相談は受けておりません。
そのため、形式上無効にならないかどうか確認する必要があります。

・代理申請はできません。
遺言者本人の申請手続きが必要となります。

 

3.自筆証書遺言保管制度のメリット

自筆証書遺言保管制度を利用するメリットは、以下のようになります。

〇紛失・偽造・隠匿を防ぐことができます

〇相続人に遺言書の所在を法務局と伝えておく事で、相続開始後の混乱を防ぐことができる

〇検認手続きが不要となり、相続人の負担の軽減

※相続開始後に法務局の方で遺言書の開示請求した相続人以外の相続人に通知してくれますので、これまで必要とされた家庭裁判所の検認手続きが不要となります。

4.自筆証書遺言保管制度 費用

自筆証書遺言は、自宅で保管管理することで費用を抑えることができましたが、この自筆証書遺言保管制度を利用する際、どの程度の費用がかかるのか、気になるところです。

  • 遺言書の保管申請
    1件につき3,900円
  • 遺言書の閲覧請求
    モニター閲覧 1回につき1,400円
  • 遺言書の閲覧請求
    原本の閲覧 1回につき1,700円
  • 遺言書情報証明書の交付請求
    1通につき1,400円
  • 遺言書保管事実証明書の交付請求
    1通につき800円

公正証書遺言に比べると利用しやすい金額設定になります。

5.自筆証書遺言とは

5-1.自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とは、遺言書の文章、書いた日付、氏名を全て遺言者本人が自筆し、押印することによって成立する遺言のことです。
もし、文字訂正がある場合、その箇所を指示し、変更箇所に押印するなどの方式が決められています。

注意するべき点は、方式通りに作成しないと無効になってしまう、ということです。

5-2.自筆証書遺言のメリット

〇いつでもどこでも自分で作成できる

〇費用がほとんどかからない

〇書いたことを秘密にできる

〇直筆のため、想いが相続人に伝わりやすい

 

6.自筆証書遺言の方式緩和とは

自筆証書遺言の方式緩和とは、2019年1月13日に既に施行されている法改正です。
改めてどのようなものか見ていきましょう。

6-1.遺言者の負担を軽減

法改正前の自筆証書遺言のデメリットの中に、自筆で書く分量が多いという点がありました。遺言書を作成する方の年齢の大半が70代後半、80代、90代です。やはり年を重ねるごとに分量の多い遺言書はかなりの負担となるものです。
これが原因で遺言書の作成を断念する人もたくさんいましたし、自筆証書遺言をあきらめ、公正証書遺言(自筆部分は氏名のみ)を作成する人もいました。

こうした事情を踏まえ、2019年1月13日の改正では全て自筆とされた自筆証書遺言の中、不動産や預貯金などの財産目録についてはワープロやパソコンでの作成を認め、不動産は法務局備え付けの登記簿謄本、預貯金の場合は金融機関の通帳の写しを添付することで認められるようになりました。

6-2.新たな自筆証書遺言の記載例

●不動産や預貯金などの財産目録をワープロやパソコンで作成した新しい自筆証書遺言の記載例です。
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このような負担軽減が遺言の普及を目指した改正になります。

7.自筆証書遺言 公正証書遺言との比較

2019年1月13日の自筆証書遺言の方式緩和、そして2020年7月10日自筆証書遺言保管制度と、今まで自筆証書遺言のデメリットとされてきたものが改善され、公正証書遺言との差が無くなったようにも思われますが、どのような違いがあるのでしょうか。比較してみましょう。

※ポイントは2つです。

1.自筆証書遺言の形式的な有効性について担保されていない

●公正証書遺言の場合

公証役場の公証人が遺言書が有効になるように公正証書にする。

●自筆証書遺言の場合

有効性については専門家に相談しない限り確認ができない。

2.遺言者の判断能力について不透明

自筆証書遺言で1番問題になるのは本人の判断能力です。

●公正証書遺言の場合

遺言者の判断能力について公証役場の公証人が確認する。

●自筆証書遺言の場合

自筆証書遺言を法務局で保管手続きをする際、遺言者の判断能力について法務局でどこまで確認するかは現時点で不透明。

まとめ

自筆証書遺言について令和2年7月10日の改正で、便利でより身近になることは間違いありませんが、制度がスタートしても浸透するまでのしばらくの間は、弁護士、司法書士、行政書士といった専門家のサポートが必要かと思われます。せっかく書いた遺言書が無効にならないためにも。

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