相続開始後

相続財産の評価(不動産以外の評価)

相続財産の評価(不動産以外の評価)
相続税は、所得税や法人税のように「所得=儲け」にかかる税金ではなく、被相続人が亡くなられた日に所有していた相続財産の評価額に対して課税されます。
そのため、相続税の計算をするために、「相続財産ごとに評価額がいくらになるのか?」を計算する必要があります。
相続財産の評価方法は、財産によっては便宜的に相続税評価通達に定型的な評価方法が定められております。ここでは具体的な評価方法と評価計算に必要な資料の収集等についてご説明します。

  1. 現金の相続 相続税評価額
  2. 普通預金・定期預金の相続税評価
  3. 上場株式 相続税評価
  4. 気配相場等のある株式 相続税評価
  5. 公社債 相続評価
  6. 投資信託 相続評価
  7. ゴルフ会員権 相続評価
  8. 書画・骨董品 相続評価
  9. 家庭用財産 相続評価

 

1.現金の相続 相続税評価額

相続した現金については、相続開始日の残高(有り高)で評価します。相続開始直前に、医療費や葬儀費用の支払準備のために預金口座からまとめて引き出すことがありますが、この場合であっても相続開始前に支出していない金額は現金残高に含めます。(相続開始後に被相続人の医療費や葬式費用を支払った場合は、債務控除や葬式費用として相続財産から控除することができます。)

◆現金の評価を確認する事項は以下になります。

  • ・相続開始直前に引き出された預金で、未支出の金額は現金として評価する。
  • ・貸金庫に保管されている現金の有無を確認する。
  • ・家賃等の現金受取りの有無を確認する。
  • ・現金の保管場所で忘れているところがないかを相続人等に確認する。

2.普通預金・定期預金の相続税評価

◆預金については、次のように評価します。

  • ・普通預金…相続開始日の残高
  • ・定期預金…相続開始日の残高+相続開始日現在の既経過利息(源泉所得税額控除後)

預金を評価する際の確認資料は次になります。

◆預貯金通帳 ◆残高証明 ◆定期預金証書 ◆利息計算書(定期預金のみ)
◆貸金庫(現金や相続財産となる契約の有無を確認します)

預金の評価の際、注意事項は以下になります。

  • ・通帳の保管場所で忘れているところがないかを相続人等に確認する。
    (申告漏れの預金口座が無いように十分に確認してください)
  • ・被相続人が管理している預金で、家族名義や他人名義のものがないか?
    (被相続人が管理している預金は、名義が被相続人以外であっても相続財産に加える必要があります。
    これらの預金は「名義預金」といって、税務調査で最重点調査項目になります。)
  • ・相続開始前3年以内に引き出され、親族等に贈与されたものはないか?
    (税務調査では、現金贈与時に贈与税の申告書が提出されているかを確認されます)

3.上場株式 相続税評価

上場株式は、国内にある証券取引所で上場基準を満たし、売買できる株式をいい、その株式が上場されている金融商品取引所が公表する次の4つの価額のうち最も低い価額により評価します。

  • ・課税時期(相続開始日)最終価格
  • ・課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
  • ・課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額
  • ・課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額

なお、課税時期に最終価格がない場合やその株式に権利落などがある場合には、一定の修正をする事になっています。

ポイント

上場株式の保有状況については、親族にも詳細には話をしていないケースも多く、複数の証券会社や金融機関等と取引をされている場合には、保有銘柄を確定するのに苦労する場合もあります。保有銘柄が多い場合は、生前にリストにしていたほうがよいでしょう。

上場株式を評価する際、確認する資料

  • ◆預金通帳
    (株式の売買代金の入出金や株式の配当金の入金を確認)
  • ◆特定口座年間取引報告書
  • ◆配当通知書
  • ◆日本証券新聞
    (株式の課税時期の最終価格を確認)
  • ◆上場株式の月平均額綴り
    (毎月の株価が記載されているファイルで、税務署で閲覧できる)
  • ◆過去に提出した確定申告書控
    (株式の売買に係る申告の有無等を確認する)
  • ◆インターネット
    (証券会社や対象会社のホームページを確認)

4.気配相場等のある株式 相続税評価

気配相場等のある株式というのは、日本証券業協会の登録銘柄や、店頭管理銘柄の株式、または公開途上の株式のことをいいます。
気配相場等のある株式を相続した場合の相続税評価は、その株式が登録銘柄または店頭管理銘柄であるか、公開途上の株式であるかに分け、次のように評価します。

登録銘柄または店頭管理銘柄

評価額=日本証券業協会が公開している取引価格で次の価格のうち最も低い価額

  • ・課税時点の価格(取引価格に高値・安値があるときには、その平均額)
  • ・課税時期を含む月の毎日の取引価格の平均額
  • ・前月の毎日の取引価格の平均額
  • ・前々月の毎日の取引価格の平均額

※負担付贈与や個人間の対価を伴う取引によって得ていた場合には、日本証券業協会が公開している取引価格の、課税時点での価格で評価します。

公開途上の株式

評価額=上場または登録の際の公開価格

5.公社債 相続評価

利付公社債

利付公社債とは利息を毎年2回ずつ払ってもらえる公社債です。利付公社債の評価は社債の基準価格と既経過利息を用いて計算を行います。
基本的には基準となる価格に既経過利息を足して、源泉所得税相当額を引けば評価額が出ます。公社債の最小単位が100円であることから実務上は以下のように利息と所得税を差し引きした分を算定します。

(100円あたりの既経過利息-源泉所得税相当額)×(券面額÷100)

上場利付公社債

上場利付公社債は、時価が公開されているので、相続開始日の最終価格に額面当たりの上乗せ分を加算します。
具体的な計算方法はこちらです。

相続開始日の最終価格+100円あたりの(既経過利息-源泉所得税相当額)×(券面額÷100円)

その他の公社債

時価が把握できない公社債については次のように計算します。

発行価格+100円あたりの(既経過利息-源泉所得税相当額)×(券面額÷100円)

割引公社債

割引発行とは額面より低い価格で社債を発行することです。割引公社債については、その種類に応じて次のように評価します。

上場割引公社債

相続開始日の最終価格=評価額

その他の割引発行公社債

時価が把握できない割引公社債については次のように計算します。

{発行価格+(券面額-発行価格)×発行日から課税時期までの日数÷発行日から償還日までの日数}

6.投資信託 相続評価

上場投資信託(ETF等)

上場株式と同様の評価額計算になります。

  • ・課税時期(相続開始日)最終価格
  • ・課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
  • ・課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額
  • ・課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額

日々決算型証券投資信託

MRF・MMF、中期公債投資信託などで次のように評価します。

1口当たりの基準価額×口数+(再投資されていない未収分配金-源泉所得税額-信託財産留保額及び解約手数料)

7.ゴルフ会員権 相続評価

ゴルフ会員権の評価は次のようになります。

取引相場のあるゴルフ会員権

被相続人が亡くなった日時点の取引価格×70%

取引価格に含まれない預託金がある場合で、直ちに預託金が返還される場合

被相続人が亡くなった日時点の取引価格×70%+預託金の金額

取引価格に含まれない預託金がある場合で、一定期間経過後に預託金が返還される場合

被相続人が亡くなった日時点の取引価格×70%+預託金の金額×返還までの期間に応じた基準年利率による複利現価率

なお、単にプレーができるだけで資産性がないゴルフ会員権は、相続税評価がゼロになります。

8.書画・骨董品 相続評価

書画・骨董品は、販売業者所有している場合とそれ以外の場合で評価方法が異なります。

販売業者所有している場合

棚卸資産の価額(決算書等帳簿価格)

販売業者以外が所有している場合

売買実例価額や精通者意見価格
なお、購入金額が10万円程度であれば、実務上、家具などの家財に含めて評価します。

9.家庭用財産 相続評価

相続開始時の時価(売却した場合の価格)

家庭用財産は、一単位の価額が5万円以下のものについては、一世帯ごとに一括して評価することができますので、「家財一式」として全体の評価額を申告します。

まとめ

相続税は相続した財産の評価額に対して課税する税金であり、その財産評価は税金を納める納税者自ら計算することになります。

もちろん、財産評価が間違っていると、申告書を提出した後に税務署から指摘を受けることもあります。ここでは、個別に評価方法が定められている不動産以外の財産について一般的な評価方法を説明しました。

しかし、相続税計算の実務においては、更に詳細な規定等も多数ありますので、実際にご自分で計算する場合は、専門書等を参考したり、税理士や税務署等に確認しながら作業を進めるようにしてください。