相続税の税務調査の対象となってしまった時の注意点


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相続税の税務調査の対象となりやすい申告書について別の記事相続税の税務調査を受けないために。おさえておきたいポイント」でご説明しましたが、ここでは税務調査の対象となってしまった場合の全体の流れや、内容、注意点についてご説明します。

  1. 相続税 税務調査の時期
  2. 相続税 税務調査の連絡
  3. 相続税 税務調査 調査日当日の流れ
  4. 相続税 税務調査 終了後の流れ
  5. 相続税 税務調査 よくある「調査官からの質問事項」と「その目的」
  6. 相続税 税務調査 調査官から聞かれやすい項目と、その質問意図とは?

 

1.相続税 税務調査の時期

税務調査は申告後、早ければ2~3か月後に入りますが、大抵の場合は1~2年経過した頃に税務署から調査の申し出があります。

2.相続税 税務調査の連絡

税務調査を行うための、税務署からの連絡は、相続税を申告した代表者に対してありますが、申告書の作成を税理士に委任していた場合は税理士経由で連絡がきます。

税務調査 調査日程の選定

この際、税務署が調査日を指定してきますが、指定された日の都合が悪ければ、2週間から1カ月先くらいの範囲で変更してもかまいません。

※日程を先延ばしたからといって特別に調査が厳しくなるということはありません。

税務調査を行う場所

税務調査を行う場所は「故人が生活した場所」として、自宅になることがほとんどです。

3.相続税 税務調査 調査日当日の流れ

◆1日目 午前中
税務調査当日は、午前10時頃に調査官1名~2名が来て夕方5時頃まで、2日続けて行われます。
(2人で来た場合は、大抵は上役の1人が質問役で、もう一人はメモ書き役です。)

初日の午前中は概況調査といって、相続人の現況の状況や被相続人の生前の状況から亡くなるまでの生い立ち、趣味や家族との関わりなど、多岐にわたって聞き取り調査を行います。

◆1日目 午後
昼になると、調査官は1時間ほど退席しますが、特に食事等を用意する必要はありません。

    • 午後1時から再開
      預金通帳や株など金融資産について資料を見ながら、具体的なヒアリングが開始します。
      ※通帳に大きな金額の引出があった場合の使途や名義預金について入念に確認されます。

 

  • 午後4時になると一日目の調査は終了です。
    ※問題がない場合は一日で終了することもあります。
    調査官が事前に確認したい事項がある場合は、初日の午後2時過ぎに話があることが多いようです。

 

◆2日目
1日目に疑問点が解消されない場合は、翌日も引き続き、懸案事項につき調査が続きます。
2日目の調査は、1日目の午後と同じような内容です。

4.相続税 税務調査 終了後の流れ

務調査終了後、2週間から3週間で、税務調査の結果報告が税理士若しくは相続人の代表者に伝えられます。

※追徴税がある場合はその理由と金額といった内容です。電話もしくは再度、自宅訪問にて伝えられます。

◆修正申告書の作成と追徴税額の納付
税務署から伝えられた内容に異論がなければ修正申告書と追徴税額の納付書を作成します。

税理士に委任していれば税理士が作成してくれます。
作成が終わりましたら速やかに修正申告書を税務署に提出し、追徴税額を納付します。

5.相続税 税務調査 よくある「調査官からの質問事項」と「その目的」

税務調査の初日の午前中は、概況調査といって、医師の問診のようにたくさんの質問をされます。雑談のように思えるような質問でも調査官にはすべて目的があります。

◆故人の経歴や健康状態、趣味、生活費についての質問

「本来、手元に残っていると思われる残高」は次の算式で計算することができます。
・それまでの蓄財+収入金額-(生活費・趣味・医療費等の支出金額)

支出金額が思ったより少なかった場合

➥ 申告漏れの現金預金があるかもしれない。

➥ 親族名義の預金があるかもしれない。

➥ 親族に贈与した金銭があるかもしれない。

といった発想なっていくわけです。

聞かれても、当然わからないこともありますので、その際は無理に答えなくても結構です。
わからないにも関わらず、調査官に安易に同意したり、聞かれたこと以外についても話してしまう方がいますが、税務調査官は決して聞き逃しません。

後々つじつまが合わなくなると、かえって変な疑念を持たれることになってしまいます。
聞かれたことだけを端的に答えることを心がけてください。

6.相続税 税務調査 調査官から聞かれやすい項目と、その質問意図とは?

税務調査で調査官から聞かれやすい項目と、その質問意図については次になります。

◆故人の経歴について

  • 【質問内容】
    • 被相続人の最終学歴
    • 職業や会社での経歴
    • 被相続人の住居の推移
    • 退職時期や最後の職場
  • 【質問意図】
    どのように財産を蓄財したかを確認
    どのくらいの年収が何年程度あったのかを確認するために質問します。所得税の申告状況等で把握できている部分もありますが、だいぶ前の情報は税務署にも残っていないため相続人に税務調査の席で確認することとなります。

◆住居となった場所に預金等がないか確認

転勤等があれば、その地で預金口座や証券口座を作成することも昔はよくあったため、住居の推移は必ず確認されます。

最後の職場や退職状況の確認
退職金は数千万という多額になるため、その退職金がいつ支給されて、何に使われたのかを確認するために退職の状況を確認します。

◆故人の財産管理能力の有無を確認

  • 【質問内容】
    • 亡くなった原因
    • 死亡時の状況
    • 生前の意識や判断能力の有無
    • 同居者の有無
  • 【質問意図】
      • いつ頃まで意思能力があったのかを確認
        死亡直前に相続人以外に生前贈与をしていた場合に、意思能力がなければ贈与 が成立したとは言えないため、その贈与財産は相続財産に含めることとなります。

     

      • 認知症でなかったかどうか確認
        死亡認知症であると財産の処分等をはじめすべての契約手続が原則としてできないため、認知症か否かが、不動産の購入、生命保険の契約、生前贈与を否認するための材料となります。

     

    • 入院後の財産の管理状況の確認
      入院後に財産を自身で管理できるような状況であったか否かを確認します。
      同居人が被相続人の生活費以上の金額を引き出していないか等も確認します。

    ◆預金の状況

    • 【質問内容】
      • 預金の管理者
      • 預金ごとの使途(生活費用、給料や賃料の振込用、貯蓄用、生命保険料振込用、納税資金用等)
      • 生前贈与の有無

       

    • 【質問意図】
      名義預金に該当するか否か確認
      各預金口座の管理者を確認することで、名義預金該当するかどうかの判定をします。

     

まとめ

相続税の申告は、幅広く専門的な知識を必要とするもので、税務調査の指摘を受けやすい税金です。
稀に独学で申告される方もいらっしゃいますが、誤った申告をしてしまった場合には、他の相続人にも影響が及び、多額の追徴税額や加算税等が発生することで親族間のトラブルに発展することもあります。
税理士が申告書を作成することで、まずは申告書に信頼性が担保されるため税務調査を受ける確率が下がります。税務調査では税理士が相続人に代わって対応してくれますし、修正事項があった場合には必然的に修正申告書の作成もしてくれます。

また、相続に強い税理士であれば、多くの相続事案を経験してきておりますので、申告書作成業務や税務署対応だけでなく、将来の相続や資産や事業の円滑な承継についてアドバイスしてくれますし、節税やトラブル回避等の対策などにも相談にのってもらえます。
相続財産に不動産がある場合や、特例を使う場合、最終的に納税額が発生することが見込まれる場合等は、できるだけ申告書の作成は税理士に依頼されることをお勧めいたします。

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