晩婚化に伴い、家庭を持つ年齢が上昇し、それに伴ってマイホームの購入をされる年齢も年々上昇してきております。
マイホームの購入年齢が上昇するということは、それだけ住宅ローンを組む年齢も上昇しているということです。先日の日経新聞の記事にもありましたが、住宅ローンの完済予定年齢が70代中盤になる等の状況になっております。
定年年齢の上昇で、生涯現役でいくにしても、年を取るに従って収入は減り、出費は嵩むものです。また、晩婚化に伴い子共を持たない夫婦も増加しており、マイホームの在り方が問われてきております。
そんな中で残価設定型住宅ローンは一つの選択肢になるのではと思います。国土交通省も調査を始めたようです。
1.残価設定型住宅ローンとは
残価設定ローン
残価設定型住宅ローンに限らず、残価設定型ローンとはどの様なものなのか、まずはご理解頂ければと思います。
比較的なじみがあるのは自動車購入の際の残価設定型ローンではないでしょうか。
自動車購入の際、一定の頭金を支払い、残りをローンとしますが、このローンの期間を3年等にして借入額の一定部分までを毎月返済します。
そして、3年後等にはその残価の一括返済を求められます。
例)500万の新車のベンツを頭金50万で残りの450万を残価設定の自動車ローンとした場合
ローン期間は3年。毎月の元金返済額が4万円とすると、
3年で48万円×3年=144万円
当初支払った50万円と144万円の残り額を一括返済となります。
500万円-50万円-144万円=306万円
3年後、所有者は306万円を払って、その車のローンを返済するか、車を306万円で買ったディーラー(負債ゼロ円で)に車を返すのか、この2つの選択となります。
このスキームのよい点は、3年後等に、車に免許返納を考えている場合などは、あらかじめ決められた期間だけ利用し、車を返却すれば負債がゼロになるという事です。
また、次の新車に同じ方法で乗り換える事も出来ます。そうすることで常に状態の良い車に乗り続けることができるというメリットがあります。
2.残価設定型住宅ローン
残価設定型住宅ローンは、自動車の残価設定ローンと同じように、ある一定の期間で建物を建てた会社や不動産会社等が買い戻すという形になります。
たとえば、子供のいないご夫婦等の場合、マイホームにある一定の年齢までは住み、将来は介護付き有料老人ホームに入るつもりであれば、ぴったりのローンになるということも、ご理解頂けるかと思います。
3.残価設定型住宅ローンの使い道
残価設定型住宅ローンを利用するメリットが考えられる人は、以下のタイプの方々です。
4.残価設定型住宅ローン対応金融機関
日経新聞記事によると、残価設定型住宅ローンに対応している金融機関は今のところは新生銀行のみだという事です。
https://r.nikkei.com/article/
詳細は調べておりませんが、恐らく借入のハードルはかなり高いものかと思われます。これは、リバースモーゲージのご依頼を受けた際、私は、様々な金融機関を調査したした感触です。
現在のところ、リバースモーゲージは全く普及していないのです。(某中堅地銀の場合、ローンの実績はあるものの、行内全体でたった1件というケースもありました。)
まとめ
晩婚化等の社会情勢の変化によって住宅等の不動産を取り巻く状況は少しずつ変わって来ております。住宅ローンの完済予定年齢が定年年齢より高い状況は健全ではないでしょう。
マイホームという大切な家をモノとして固定化するのではなく、生活に合わせてフレキシブルに利用したり、住み替えるという考え方の変革が必要なのではないかと思います。
その一つとして残価設定型住宅ローンがあり、不動産のリースバックもあるかと思います。